Tuesday 27 June 2017

映画「アメリ」をめぐるパリの街 (パリ旅行記2)


初めてみたフランス映画は「アメリ」だった。いつだったのかは覚えていない。子供の映画のような可愛い映像に、ビターな大人の要素がちりばめられていて、すごく不思議な世界だなあと思ったのを覚えている。これがフランス映画なのか、と新しい世界の扉を開けた気がした。


パリで特にしたいことはなかったので、とりあえずアメリのロケ地を巡ることにした。

まずは地下鉄をPigalle駅で下車し、ポルノショップの立ち並ぶ並木道をまっすぐ進む。この通りにニノが働いていたポルノショップもあったそうだけれど、あまりの数に見つけられなかった。しばらく歩くと、かの有名なMoolin Rouge(ムーランルージュ)がある。昼間だったので開演はしていなかったけれど、写真を撮る観光客で賑わっていた。




ムーランルージュの角を右に曲がり緩やかな坂を登っていくと、アメリが働いていたカフェCafe des Deux Moulinsがある。


Cafe des Deux Moulins
15 Rue Lepic 75018 Paris 18ème


映画そのままの赤い日よけがかかった外観が可愛らしい。名前もおなじまま。

店内にはアメリの写真が飾られている。ジョルジェットのタバコ売り場はなかったけれど、内装もほとんど映画の通り。







お客さんは映画ファンの観光客ばかりかと思えば、意外にも半分は地元のおじさんたち。メニューを見て気づいたけれど、ここは値段も手頃でボリュームがある美味しいご飯が食べられるカフェだったのだ。アメリのロケ地だということでお客さんがたくさん来るだろうに、そこに甘んずることなく、地元の人にも愛されているのは偉いなあと思う。




結局、わたしは2日間ここでランチを食べた。1日目は牛肉のタルタルイタリア風。タルタルは日本でいうユッケのこと。イギリスでもたまにパブのメニューで見かける。タルタルと、サラダ、山盛りのポテト、それからバケットが出てきて、残念だけどとても食べきれなかった。




アメリの好きなこと。クリームブリュレの表面をスプーンでぐちゃぐちゃに崩すこと。

2日目はエスカルゴのガーリック焼き(これもバケットが付いてくる)とデザートにクリームブリュレ。クリームブリュレはここの名物のようで、ほとんどのお客さんが頼んでいた。味も、もちろん美味しかった。






トイレの中にはアメリのお部屋の豚のランプや、お父さんの庭の小人など映画で使われた小物が飾られている。

カフェを出てさらに坂を登っていくとイジワルなコリニョンの八百屋さんAu Marché de la Butteがある。ちなみにこの八百屋さんの上のアパートにアメリは住んでいたという設定。



 Au Marché de la Butte
56 Rue des Trois Frères, 75018 Paris, France



コリニョンのように八百屋のおじさんは外に居なかったけれど、ここも映画そのまま。アメリのポストカードが売って居たり、写真や新聞の記事が飾られていたり、やっぱりファンが多く訪れるみたい。わたしが行った時も、ツアーの団体が八百屋からカフェへ、カフェから八百屋へ歩いている姿を何度か見かけた。

アメリの好きなこと。穀物の入った袋に手をつっこむこと。



サクレクール寺院を目指して坂を登っていく。アーティストの町モンマルトルへと続く道はやっぱりアートで溢れている。細い路地やビルの上のところなど目を凝らしてみると至る所にアートが隠れているので楽しい。





モンマルトルの丘からはパリの街を一望できる。観光名所のサクレクール寺院の前にある石段はのんびり休憩する観光客と、その観光客にビールや水を売る(公式ではない)売り子でいっぱいだった。

アメリの好きなこと。モンマルトルの丘から、パリの街でいまどれくらいの人がオーガズムに達しているか想像すること。




石段を降りていくとメリーゴーランドがある。ここはアメリがニノの落とした「拾い集めた証明写真のアルバム」を渡した場所。小さい子供達がボール遊びをしていたり、ベンチで休む散歩中の人がいたり、憩いの場になっていた。



これはモンマルトルから宿に帰る途中で偶然見つけた地下鉄Le Métro Lamarck-Caulaincourt駅。アメリが盲目のおじいさんの手を引いて、目に映る全てのものを伝えながらこの駅まで連れていくシーンは映画の中でもお気に入りのシーンのひとつ。



それから、別の日に行ったノートルダム寺院。自殺を謀った人の下敷きになりアメリのお母さんはここで死んでしまう。


パリから戻ってから映画を見返すと、「あ、ここも」と次々と自分の通った場所が出てきて嬉しくなった。映画のロケ地を巡ったりするのは初めてだったけれど、自分の旅行の思い出と映画が重なるのはとても素敵な気持ちだった。「アメリ」がもっと好きになった。



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