Monday 14 November 2016

夢のようなチーズ(イタリア旅行記2:ヴェネチア編)

ヴェネチアで夢のようなチーズに出会った。夕方6時ごろ、ヴェネチアに着いた私たちはバックパックを背負ったまま街の中をあてもなく歩いた。ヴェネチアの街は細い路地が入り組んでおり、袋小路もおおく、探検しているようで楽しかったが、街灯はぽつんぽつんと思い出したようにあるだけで、夜はとても暗かった。





1時間ほど歩いているとだんだんお腹が空いてきた。一緒に行った友人がイタリア人の知人から「チッケッティ」というオープンサンドのようなおつまみが美味しいと聞いていたのでぜひ食べてみよう、ということになった。その日のヴェネチアは風が吹くと肌寒いものの、テラス席で過ごすにはとても気持ちのいい夜だった。テラスにいる人のほとんどが、ワイングラスに入ったルビーのように輝く飲みものを飲んでいた。うすくスライスしたオレンジが入ったその美しい飲みものを、若者も老夫婦もみんながそろって飲んでいて、私はたちまちそれが飲みたくなった。その反対にビールを飲んでいる人がひとりも居なかったのがイタリアらしいと思った。



店先で女性が食べていたチッケッティが美味しそうだったので、ANCORAというレストランに入ることにした。店内に入るとカウンターの脇に10人ほどが座れるテーブルがあり、その奥へと進むと広いテラス席がある。店内はドリンクとチッケッティのみで、テラス席はディナーを食べる人のみ。私たちはテラス席でチケッティとそのほかメインを頼むことにした。店員さんに頼むと「チッケッティが食べたいなら、パンと生ハムを単品で頼んだ方が安いし、自分でのっければ同じだよ」ということで従うことにした。さらに「モッツァレラチーズは好き?スペシャルで生ハムとセットで美味しいのがあるよ」という誘い文句にまんまとのり、私たちはその生ハムとチーズ、ミートボール、イカスミのスパゲッティとシーフードスパゲッティ、そしてルビーのように輝く飲みものを1杯ずつ頼んだ。


この飲みものは「スピリッツァー」と呼ばれるそう。味は柑橘系の甘いリキュールをスパークリングワインとソーダで割ったようなもので、おそらくイギリスでも人気なアペロールスピリッツァーと同じではないかと思った。きっとヴェネチアの街に合っているのだろう、このさっぱりとして甘いカクテルがロンドンで飲んだ時よりも美味しく、旅で疲れた私たちの体を癒した。

ミートボール。牛ひき肉をレバーのような滑らかなものと
混ぜているのだと思う。とても濃厚で日本のミートボールと
いうよりはメンチカツの方が近いかな。

これがそのチーズ&生ハム



スパゲッティも太麺でモチモチしていて美味しかった

何と言っても美味しかったのがこのチーズ。ほんとうに夢のようなチーズだった。脂身の少ない生ハムと一緒にオリーブオイルと塩胡椒をかけて食べるのだが、まったく、今まで食べたこともない食感と味わいだった。私たちはすっかりこのチーズの虜になり、帰りに店員さんにチーズの名前とどこで買えるのかを聞いて帰った。



このチーズはStracciatella Di Burrataと言われ、生クリームをたっぷりと使用しているのでとても滑らかで、ほのかに甘みがある。次の日、ヴェニスを離れる私たちは電車に乗る前に必死になってこのチーズを探した。店員さんが教えてくれたチーズ専門店ではお昼の時点で売り切れだったが、ふらりと入った地元のスーパーでなんと量り売りで売られていた。その日に食べたStracciatella Di Burrataもやっぱり、夢のような味がした。フィレンチェへ向かう電車の中、生ハムもオリーブオイルも塩胡椒もなかったけれど私たちはそれだけで幸せな気持ちになった。

テラス席からの眺め





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