Wednesday, 26 October 2016

ロンドンの夜景を一望できるトイレ

あちらこちらで、黄色やだいだい色に染まった木々が美しい季節になった。ロンドンでこんなに身近に紅葉が見られるとは思っていなかったのでとても嬉しい。窓から見える丘も日増しに色とりどりになっている。今回は前回のつづき。一風堂で腹ごしらえした私たちはLondon Bridgeまでテムズ川沿いを歩いた。目的地はThe Shard、西ヨーロッパで一番高い建物だそうでLondon Bridgeのすぐそばに建っている。以前スロバキア人の同僚から「上層階のレストランでディナーをしたのだけれど、とても綺麗だったよ」と聞いて気になっていたのだ。Canary Wharfからは思った以上に遠かった。ぜんぶで1時間半くらいは歩いただろう。着いたころには辺りは真っ暗になっていた。


Canary Wharf からの眺め。セントラルロンドンがよく見える


セントラルに近づくと、Tower Bridgeのあたりから陽気な音楽が聞こえてきた。Tower Bridgeを渡ったところにある広場には日曜日の夜にもかかわらず人だかりができ、DJの流す音楽に合わせてそれぞれ楽しそうに踊っていた。霧雨のなかに響く人々の歌声、お酒の匂い、人々から伝わる熱気、それからこつんこつんと響くピンポン球の音。その場にはなぜか卓球台が2、3台あり、お洒落な若者がたのしそうに遊んでいた。まるでダーツやビリヤードをするように。

三角形の建物がThe Shard。この日は綺麗な満月だった


チケット売り場で展望台のチケットを買う。大人ひとり30ポンドとなかなかの値段。私が躊躇している間にチケットが差し出された。69階までエレベーターで上がる。そういえば、イギリスでは階数を数えるときに、日本でいう1階のことをGround floorといい、日本でいう2階のことをFirst floorという。そこから順にThird floor, Fourth floorと増えていく。地下のことはDown stairsという人もいれば、Basementという人もいる。地階が2階、3階と多いところを見たことがないので、そこから先はなんというのか分からないけれど。家などではDown stairsがあるところはとても多い。

69階まではエレベーターで本当にあっという間で、耳がキーンとなるあのいやな感じも全くなかった。69階からはさらに階段で72階まで上がることができ、そこは天井のないオープンスカイデッキになっている。日曜日の夜ということもあってか、とても空いていてゆったりできた。写真はスカイデッキからの眺め。その景色は予想をはるかに超える美しさで、私は「30ポンド以上の価値があったね」と言った。私が払ったわけではないのに。



眼下に真っ暗なテムズ川が広がり、橋をこえた向こう側にはビッグベンが、こちら側にはロンドンアイやTower Bridgeが、Tower Bridgeのずっと奥にはCanary WharfにあるHSBCタワーが見える。あんな遠くから歩いてきたんだ、と私たちは驚いた。展望台ではビールやサイダーなどのお酒やスナックも売っており、お酒を飲みながら夜景を楽しめる。お酒はだいたい5ポンド前後と展望台の売店にしては良心的だと思う。

ロンドンの夜景を見下ろしながら、ああ、遠くまで来たんだなあと思った。ずっと住みたくて、憧れていたロンドンにいま居ることがまだ信じられないような気がした。それでも、見える景色のいたるところに思い出が染み付いていて、ああ、ここで生きてきたんだなあとも思った。



そんなThe Shardでなんと言っても印象的だったのはトイレだ。ロンドンの夜景を一望できるトイレ!個室のトイレが3つ4つあるので、それぞれで見える夜景は違うはず。残念ながら男性トイレは夜景が見られないらしい。





オンラインでは、少し安くチケットが買えるそう。ただロンドンの天気は変わりやすいし、曇りの方が多いのであらかじめチケットを買うのはちょっとしたギャンブルかもしれない。今回は雨が降った後だったこともあってか視界もよく、つやつやと輝く夜景を見ることができた。ロンドンの夜景の特徴は、大都会だけれど高層ビルが少ないためかなり遠くまで見渡せること、それから、テムズ川にかかる輝く橋の数々。派手なネオンや高層ビルがあるわけではない、控えめで上品な美しさの夜景はなんだかイギリスらしいなあと思った。

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