Thursday 27 October 2016

道化師の踊るクリスマスツリー (Christmas shop at Liberty)


今日は10月27日、あと4日でハロウィン。私はハロウィン当日ロンドンにいない予定なので、残念ながらロンドンのハロウィンがどんなものか今年は見ることができない。店先には9月の下旬ごろから仮装グッズがちらほらと並び出していて、近所のスーパーでもなかなか本格的な仮装グッズを揃えることができる。

イギリスの庶民派スーパーSainsburyにて

興味深いのは、ハロウィングッズとほぼ同時にクリスマスグッズの販売も始まったこと。クリスマスカードはもちろんのこと、イギリスでクリスマスに食べるミンスパイ −ドライフルーツが主な材料のミンスミートをパイ生地で包んで焼いたもの。アップルパイとかの生地よりはクッキー生地に近い感じで、上に星型のデコレーションがしてある− なども9月のおわりには店頭に並んでいた。

このまえ友人へのプレゼントを探しに、小花柄のリバティプリントで有名な老舗デパートのLibertyへ行ったところ、ちょうどクリスマスショップがオープンしていたので覗いてみた。



小学校低学年のころくるみ割り人形の絵本を母にプレゼントしてもらい、クリスマスの前に何度も何度も読み返したのを覚えている。ストーリーというよりも、その挿絵にとても惹かれたのだ。細部まで細かい絵で埋め尽くされていて、美しいけれどちょっと怖い、そんな絵本だった。そしてその本がヨーロッパのクリスマスへの憧れをつのらせたように思う。そしてなぜそんなことを思い出したのかと言うと、この入り口に立っているくるみ割り人形がその挿絵そのままそっくりだったから。

リバティの店内

ショップは壁を隔てて二箇所に分かれており、一箇所はクリスマスカードやお菓子、紙皿やクリスマスクラッカー −イギリスのクリスマスでは欠かせない!そうだ− などパーティで使うような備品やギフトで、もう一箇所はクリスマスツリーのデコレーションやリースなど。その美しいこと!








驚いたのがクリスマスツリーの飾りの豊富さ。色ごとに分けられていて、見るだけでも気分が盛り上がる。定番の赤や白の飾りはもちろんのこと、淡いパープルや水色、ゴールド、ショッキングピンクにみどり色。そして飾りも良く見るまあるいものや天使、それからなんと女王さまの写真がプリントされたものまで!素材も様々で布でできたもの、ガラス、プラスチックなどなど。こんなに種類があったら家のインテリアに合わせてオリジナルのツリーを作れるなあと妄想が膨らみます。







お店にあるツリーのデコレーションもとてもお洒落で、とても気に入ったのは、おそらく舞踏会をテーマにしているデコレーション。仮面やダンサー、道化師などの飾りつけはとても色とりどりで物語の世界の中のよう。



イギリスでは日本でいう年賀状のようにクリスマスカードを書く。親しい友人や家族、親戚に。店先に売っているカードは凝った装飾や美しいイラストが描かれたものが多く、思わず手紙を出したくなる。でもほとんどが二つ折りのカードで手書きを前提にしているようなので、義務的に何十枚も出すものではないのだと思う。一枚一枚も安いわけではないしね。


イギリスのクリスマスに欠かせないクリスマスクラッカー

そういえば、イギリスの家は道路沿いの家でもカーテンがないところが多い。そのため朝晩問わず家の中が丸見えなんて家はとても多いのだけれど、その中でよくテーブルや棚の上がカードでいっぱいの家を見かける。そうすると「ああ、この家の人は今日誕生日なんだなあ」と分かる。3年前にオックスフォードのB&B(ベッド&ブレックファースト)に泊まった。宿の主人のジルはリビングに大きなオードリーヘップバーンの肖像画を飾り、部屋はローラ・アシュレイのお店のように可憐で、それでいて彼女自身は濃いアイラインが印象的なとてもかっこいい人だった。そして、とびっきりおいしいイングリッシュ・フルブレックファーストを作った。私が朝食のためにリビングへ行くと、彼女は棚の上に並べられた何枚ものカードを眺め「今日は私の誕生日なの」と嬉しそうに言った。カードが二つ折りなのは、きっと飾りやすいという理由もある気がする。誕生日カードも、クリスマスカードも、相手の顔を思い浮かべながら思いを綴り、贈られた側はひとつずつ大切に飾りそれが家のデコレーションの一つにもなるなんて、とても素敵なことだと思う。私もイギリスに来てから、手紙を書くことが好きになった。今年は大切な人に、クリスマスカードを贈ろうと考えている。





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Wednesday 26 October 2016

ロンドンの夜景を一望できるトイレ

あちらこちらで、黄色やだいだい色に染まった木々が美しい季節になった。ロンドンでこんなに身近に紅葉が見られるとは思っていなかったのでとても嬉しい。窓から見える丘も日増しに色とりどりになっている。今回は前回のつづき。一風堂で腹ごしらえした私たちはLondon Bridgeまでテムズ川沿いを歩いた。目的地はThe Shard、西ヨーロッパで一番高い建物だそうでLondon Bridgeのすぐそばに建っている。以前スロバキア人の同僚から「上層階のレストランでディナーをしたのだけれど、とても綺麗だったよ」と聞いて気になっていたのだ。Canary Wharfからは思った以上に遠かった。ぜんぶで1時間半くらいは歩いただろう。着いたころには辺りは真っ暗になっていた。


Canary Wharf からの眺め。セントラルロンドンがよく見える


セントラルに近づくと、Tower Bridgeのあたりから陽気な音楽が聞こえてきた。Tower Bridgeを渡ったところにある広場には日曜日の夜にもかかわらず人だかりができ、DJの流す音楽に合わせてそれぞれ楽しそうに踊っていた。霧雨のなかに響く人々の歌声、お酒の匂い、人々から伝わる熱気、それからこつんこつんと響くピンポン球の音。その場にはなぜか卓球台が2、3台あり、お洒落な若者がたのしそうに遊んでいた。まるでダーツやビリヤードをするように。

三角形の建物がThe Shard。この日は綺麗な満月だった


チケット売り場で展望台のチケットを買う。大人ひとり30ポンドとなかなかの値段。私が躊躇している間にチケットが差し出された。69階までエレベーターで上がる。そういえば、イギリスでは階数を数えるときに、日本でいう1階のことをGround floorといい、日本でいう2階のことをFirst floorという。そこから順にThird floor, Fourth floorと増えていく。地下のことはDown stairsという人もいれば、Basementという人もいる。地階が2階、3階と多いところを見たことがないので、そこから先はなんというのか分からないけれど。家などではDown stairsがあるところはとても多い。

69階まではエレベーターで本当にあっという間で、耳がキーンとなるあのいやな感じも全くなかった。69階からはさらに階段で72階まで上がることができ、そこは天井のないオープンスカイデッキになっている。日曜日の夜ということもあってか、とても空いていてゆったりできた。写真はスカイデッキからの眺め。その景色は予想をはるかに超える美しさで、私は「30ポンド以上の価値があったね」と言った。私が払ったわけではないのに。



眼下に真っ暗なテムズ川が広がり、橋をこえた向こう側にはビッグベンが、こちら側にはロンドンアイやTower Bridgeが、Tower Bridgeのずっと奥にはCanary WharfにあるHSBCタワーが見える。あんな遠くから歩いてきたんだ、と私たちは驚いた。展望台ではビールやサイダーなどのお酒やスナックも売っており、お酒を飲みながら夜景を楽しめる。お酒はだいたい5ポンド前後と展望台の売店にしては良心的だと思う。

ロンドンの夜景を見下ろしながら、ああ、遠くまで来たんだなあと思った。ずっと住みたくて、憧れていたロンドンにいま居ることがまだ信じられないような気がした。それでも、見える景色のいたるところに思い出が染み付いていて、ああ、ここで生きてきたんだなあとも思った。



そんなThe Shardでなんと言っても印象的だったのはトイレだ。ロンドンの夜景を一望できるトイレ!個室のトイレが3つ4つあるので、それぞれで見える夜景は違うはず。残念ながら男性トイレは夜景が見られないらしい。





オンラインでは、少し安くチケットが買えるそう。ただロンドンの天気は変わりやすいし、曇りの方が多いのであらかじめチケットを買うのはちょっとしたギャンブルかもしれない。今回は雨が降った後だったこともあってか視界もよく、つやつやと輝く夜景を見ることができた。ロンドンの夜景の特徴は、大都会だけれど高層ビルが少ないためかなり遠くまで見渡せること、それから、テムズ川にかかる輝く橋の数々。派手なネオンや高層ビルがあるわけではない、控えめで上品な美しさの夜景はなんだかイギリスらしいなあと思った。

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Thursday 20 October 2016

粋なお会計(Canary Wharf) 


青空の気持ちいい日曜日、ロンドン東部にあるカナリーワーフ(Canary Wharf)へ散歩に出かけた。ここはテムズ川沿いにある再開発地域で、ロンドンでは珍しい高層ビルが建ちならんでいる。かつては西インド会社が経営する商業埠頭として栄えたカナリーワーフ。カナリーワーフという名前はカナリア諸島との貿易に由来するそうだ。現在は古くからある金融街シティに並ぶ、イギリスの金融の中心として栄えているビジネス街だ。


私たちは地下鉄で行ったけれど、River bus(水上バス)で向かうこともできる。手前に写っているのが水上バスの停留所。ロンドンでは日が暮れるのがすっかり早くなり、18時ごろには写真くらいの暗さになる。7月や8月は22時ごろまでこのぐらい明るく、街中は短い夏を楽しもうという活気に溢れていた。これからどんどん日が暮れるのが早くなり、16時ごろには真っ暗になってしまうらしい。

青空の気持ちいい、と冒頭に書いたけれど通り雨が降るのがロンドン。地下鉄の駅からThe West India docksに向かう途中、 激しい雨が降ったのでアーケードで雨宿り。そう、余談なのだけれど、屋根がついている歩道って日本語でなんていうのだろうと思い「屋根がついている歩道 言葉」で検索したら「アーケード」と出てきて −結局日本語ではなかったのだけれど−、ああそうだったとWikipediaを読んでいたら私の故郷大分県が誇るガレリア竹町が「日本最大の断面を有するアーケード商店街として紹介されていたことにとても驚いた。そしてさらに驚いたのがガレリアとはイタリア語で屋根付き商店街を意味するということ。無口なマスターが作るホットサンドが本当に美味しい喫茶店の珈琲かわい、100円の映画パンフレットを買いあさった古本屋のカモシカ書店、ピンクのスウェードでできたヘアゴムや目の覚めるような緑色のサンダルを買ったアジアン雑貨のお店カサデロコ。つぎ大分へ帰るのは2年後かなあ。大きな駅ビルがすぐそばにでき、かつての活気を失ったガレリア竹町だけれど、気に入りのお店がずっとそこにありますように。


ロンドン情報のブログが思いがけず大分情報になってしまったけれど、写真はWest India docksに向かう橋。橋の向こうに見えるのはMuseum of London docklands、その向こうにぼんやりと虹が見えるかな。


橋のたもとから、前衛的な建築が目に入ったので行ってみるとCrossrail stationという駅ビルだった。屋上庭園にはなぜか日本から輸入したJapanese maple (もみじ)、木蓮、熊笹や中国から輸入した竹などが植えられていた。貿易で栄えたことに由来している、のかどうかは分からないけれど。



そのあとテムズ川沿いをLondon Bridgeまで歩こうという計画だったのでその前に腹ごしらえ。渡英前、東京での最後の晩餐に食べた程すきな一風堂がなんとCrossrail Stationの中に入っていたので行ってみることに。晩御飯には早い中途半端な時間だったので2人で赤からラーメンと焼き餃子を分け合って食べ、梅酒を1杯ずつ飲んだ。


久しぶりの一風堂はやっぱり美味しくて、ものすごい勢いで食べた。あまりに興奮して写真を撮る暇もなかったほど。テーブルに高菜や紅生姜、ピリ辛のもやしがないのは残念だったけれど。そういえば、東京にいたころアルバイト先で「高菜」をお客さんに言ったところ、イントネーションが違って全く通じなかったことがあった。東京の人は高菜を魚と同じリズムでいうけれど、私たちは「た」にアクセントを置くので「わかめ」のようなリズムになる。


お会計はこんな粋な容器に入って出てくる。噂に聞いていた通りやはり割高だけれど、ロンドンで日本と同じ味が食べられるなら仕方ないのかもしれない。たまの贅沢にまたいつか来たいと思った。もし海外にいる友人へのお土産で悩んでいる人がいたら、セブンイレブンに売っている一風堂のインスタントラーメンを買ってあげてください。かなりかさばるのでスーツケースの幅をとると思うけれどきっと喜ばれるはず、って私だけかな。

長くなってしまったので、London Bridgeまで5km強を歩いた話は次回に。

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Friday 7 October 2016

お皿のようなプディング (York旅行記2)



ヨークの旅でなんといっても美味しかったのはヨークシャープディング。日本ではなじみのない食べ物だが、イギリスでは日曜日に食べるサンデーローストの付け合わせとしておなじみ。例えるならば、しっかり焼き上げたシュークリームの皮のような物で、ほのかにたまごの甘みがする。サンデーローストはイギリスの伝統料理のひとつで、ローストした肉―多くの場合、ビーフ・ポーク・チキン・ラムから選ぶことができる―、ローストポテト、にんじんやキャベツ等野菜の付け合わせ、そしてヨークシャープディングにたっぷりとグレイビーソースをかけて食べる料理である。日曜日のパブやレストランは、サンデーロースト目当ての人々でとても賑わう。親子三世代で、久しぶりに会う友人と、恋人同士で、ちょっと特別なサンデーブランチという風に。

そのサンデーローストは、産業革命時代のヨークシャーが発祥の地だと言う。なので、サンデーローストにヨークシャープディングは欠かせない。本場のヨークシャープディングは見た目からしてロンドンのそれと全く違ったのでとても驚いた。ロンドンで食べたヨークシャープディングはきのこのように丸っこい形で、中に何も入っていないシュークリームのようだった。手でちぎって、グレイビーソースをつけながら食べた。ヨークで食べたヨークシャープディングは大きなお皿のような形をしており、なかにローストポークとたっぷりのグレイビーソースが入っていた。そのおいしいこと!




↑ロンドンのパブで食べたポークロースト
上に乗っている丸いものがヨークシャープディング

↑ヨークのパブで食べたポークロースト
大きなヨークシャープディングの器のなかに
豚肉とグレイビーソースが入っている。
値段もリーズナブルでおすすめ。


わたしたちが行ったのは、前回のブログで触れたヨークミンスターのすぐ近くにあるパブ「HOLE IN WALL」。パブへ行ったのは水曜日。でも大丈夫、日曜日じゃなくてもヨークシャープディングを楽しむことができます。ロンドンでは日曜日しか食べられないサンデーローストも、さすがは名物、ヨークでは毎日食べられるところが多いみたい。このパブはビーフとポークの二種類。付け合わせはゆでたポテト、にんじん、グリンピース、インゲン。そしてアップルソース。このアップルソースは甘さが控えめのりんごジャムのようなもので、ローストポークには欠かせない。ソースの種類は肉によって異なり、ローストビーフはぴりっと辛いホースラディッシュソース、ローストラムは羊肉の臭みを消すミントソース、ローストチキンにはとろっとしたブレッドソースがそれぞれ添えられる。


↑パブの店内。昼間からビールで一杯するひとも多い↓



イギリスではいたるところにパブがある。一口にパブと言っても、ビールに特化したところ、夜になると踊る若者で賑わうところ、ドッグフレンドリーで地元の人に愛されるところなどさまざまだ。なかでもレストランのように料理に力を入れているガストロパブは旅行で来た人にぴったり。手頃な値段で、イギリス料理を楽しむことができる。イギリス料理と言えば「まずい」というイメージが先行しているが意外や意外、おいしいものもたくさんあります。パブは昼から開いているので、観光の合間にパイントビールとイギリス料理で休憩するのもおすすめ。

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🚃おまけ
ヨークで行ったNational Railway Museumは、入館料無料なのに充実の内容でおすすめ。1900年代前半の寝台列車や貨物列車などもあり、電車と人の関わり方が時代とともにどのように変化していったのかを目で見ることができます。