Wednesday, 23 November 2016

ダビデ像の後ろ姿、手に持っていたもの(イタリア旅行記7:フィレンツェ編)

わたしの通っていた大学にはなぜかミロのヴィーナスのレプリカがあった。四季の花々が咲き、よく陽の当たる美しい中庭を見渡すように、ミロのヴィーナスが佇んでいた。入学してすぐのゼミで、担当教授がキャンパスツアーと称して学内を案内してくれた。そのときに教授が「ミロのヴィーナスの後ろ姿を見れる事なんて滅多にないよ」と言ったことを今でも覚えている。その言葉に妙に納得したわたしは、そのあとも時折ミロのヴィーナスの後ろ姿を眺めに行ったものだ。


だから、ダビデ像の後ろ姿をこの目でどうしても見たかったのだ。それはフィレンツェでどうしてもしたかったことのひとつと言っても過言ではない。そんなダビデ像は数多くの名作が所蔵されているウフィツィ美術館ではなく、そこから少し離れたアカデミア美術館にある。(ウフィツィ美術館についての記事はこちら)


ウフィツィ美術館を出たのが昼の2時ごろ。お腹が空いていたので近所のバールでサンドイッチを買い、食べながら向かった。イタリアには本当にたくさんバールがある。多くのところがパンや焼き菓子、コーヒーやお酒、ジェラートの3つのブースに分かれており、それぞれで買い物をすませ、最後にレジで支払うという風になっている。10人もはいればいっぱいの小さなバールから、立ち食い立ち飲みスタイルのバール、テーブル席があるバールまでさまざまだ。

カツレツのサンドイッチ。ここはフィレンツェだが、
カツレツはミラノの郷土料理らしい。


その日はとてもいい天気だった。バックパックを背負い、早足で歩いていると少し汗ばむほどの暖かさ。ショッピング街を通り抜けて、あまり人気のいなくなった頃に美術館が現れる。入り口には20人ほどの列ができていた。時間帯によってはとても混むそうだけれど、わたしは20分もしないくらいで入ることができた。ウフィツィ美術館と同様にセキュリティチェックを通り抜け中に入る。ちなみにここにはクロークがなかったので、バックパックを背負ったまま鑑賞した。

途中で見つけたストリートアート。
Love is the only exit to escapeってこと?


そして中に入ってすぐに、惜しげも無くダビデ像が置いてある。まず驚いたのはダビデ像の大きさ。なんと5メートル以上あるそうだ。実際のダビデ像はとても繊細で見とれるほど美しかった。たとえば腕から手の甲へ流れる血管、たとえば爪の形、本当にひとつひとつが美しい。こんな巨大なものをここまで緻密に作ったミケランジェロの労力に脱帽した。またダビデ像は上半身が下半身と比べて大きくなるよう設計されている。それは本来この像が高いところに設置される予定であり、遠くから見たときのバランスを考えたためであるらしい。そう考えると、こっちの人ってほんとうに足が長いんだなぁなんて余計なことを考えてしまうのはわたしだけ?

人と比べると、その大きさは一目瞭然

さて、肝心の後ろ姿。左手に持った投石器はダビデの背中を斜めにつたい、その先は右手の中におさめられている。右足の後ろには何か切り株のようなものが。テルマエロマエが左手にタオルを、右手に風呂桶を持っていることは知っていたけれど、ダビデ像が何を持っているかは知りませんでした。


この像は巨人ゴリアテとの戦いに臨む前のダビデを表現しており、そのストーリーは旧約聖書に基づいているそう。今までただ立っているだけとしか思っていなかったダビデ像だけれど、後ろ姿にその隠されたストーリーが秘められていたようだ。余談だけれど、ダビデの英語名はベッカムの下の名前、David(デイビッド)。つまりダビデはDavidの語源になったそうだ。


この美術館はダビデ像の他にミケランジェロ未完の彫刻4体をはじめ、大小数多くの彫刻や宗教画が所蔵されている。1時間もあれば十分見てまわれる小さな美術館だけれど、ダビデ像のためだけにでも訪れる価値は十分あると思う。

そんな芸術の街フィレンツェの旅行記も今日が最後。次回からはついにローマ編です。

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