Monday, 26 September 2016

息つく間もない2時間 

先日、とっても良いエキシビションに行ってきた。その名も「You Say You Want a Revolution? Records and Rebels 1966 - 1970」。South Kensingtonにあるヴィクトリア&アルバートミュージアムで10日から始まったエキシビションで、今なお私たちの生活に大きなインパクトを与え続けている1960年代という時代を、音楽やファッションといったユースカルチャー、同性愛者権利拡張運動・第二次フェミニズム運動・黒人権利運動・ベトナム戦争反対運動といった政治運動、Consumerism と様々な角度から探る内容は圧巻の一言だった。60年代をよく知らなくても、ツイッギー、マリー・クウァント、アンディーウォーホル、ヴィダルサスーン、ビートルズ、ローリングストーンズのどれかを聞いたことがある方は多いはず。


エキシビションはまるで当時にタイムスリップするアトラクションのようで、ほんとうに楽しかった。Carnaby Streetを模したコーナーにはツイッギーが当時着用していたサイケ柄のドレスを彼女のマネキンが着ていたり、Woodstock—1969年にアメリカで4日間行われた野外ミュージックフェスティバル。今でも伝説のフェスとして語り継がれている—の展示は芝生の絨毯の上に大きなクッションが置かれ、寝転びながら大画面で当時のドキュメンタリーを見ることが出来たり。入口で渡されたオーディオガイドは、進んで行くにつれて耳に流れる音楽がビートルズからローリングストーンズへ、権利を求めて戦う人々の声から、ニュースを読み上げる声へと変わっていく。





"An artist is somebody who produced things that people don't need to have 
but that he, for some reason, thinks it would be a good idea to give them"
 Andy Warhol, the philosophy of Andy Warhol 1975



このエキシビションを語るにおいてなんといっても外せないのはビートルズの存在。エキシビションの広告の真ん中にもジョン・レノンのイラストが描かれているように、彼らがのちの音楽界に、そして若者文化に与えた影響ははかりしれない。そもそも、わたしがイギリスを好きになったきっかけもビートルズだった。父の車で常に流れていたビートルズ。大学進学を機に上京し、あらためて自分で聴いてみて、こんなに良い音楽だったのかと驚いた。ビートルズの生まれたイギリスに行ってみたい、そんな思いで3週間のイギリス一人旅をした大学2年生の夏。ビートルズだけじゃないイギリスの魅力に魅了され、今度はここに住みたいと思った。そして運良く2年間のビザを手に入れ大学卒業と同時にこの地に戻ってきた。念願のイギリス生活なので、落ち込むことはほとんどないけれど、ふと疲れたときはビートルズを聴く。父の車で小さい頃きいていたように。やっぱり彼らの音楽はこの土地にとても良く似合うと思う。

エキシビションではジョン・レノン直筆のIn My Life、Imagineの歌詞を始め、彼らが着用した衣装やジョージ・ハリスンの日記なども見ることができ、ビートルマニアにもたまらない内容だった。



約2時間、息つく間もなく隅から隅まで舐めまわすように堪能し、大満足だった。エキシビションは来年の2月26日まで。わたしももう一度行きたいなあと思うほど、素晴らしい内容だった。


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Sunday, 25 September 2016

モネの絵画のようなガーデン(York旅行記1)

先週、7泊8日でイギリス国内を旅してきた。イングランド北部に位置するヨーク(York)、スコットランドの首都エディンバラ(Edinburgh) 、スコットランドのおよそ中央にある小さな村キリン(Killin)、そしてスコットランドで最大の人口を誇るグラスゴー(Glasgow)。表情豊かな方言、さまざまな街の色。記憶が色あせてしまう前に、ここに残しておこうと思う。
まずはヨークでの出来事から。ロンドンにあるハリーポッターで有名なKings Cross Stationからヴァージントレインに揺られること2時間、York Stationに到着。ここは駅そのものがとても美しく、わたしはしばらく見とれてしまった。なんと1877年に完成し、増築、修理を繰り返し今にいたるのだそう。

ヨークは街の中心をぐるりと囲むように城壁があり、城壁の中を歩きながら散策ができる。その途中で偶然見つけたのが Grays Courtというホテル。おどろくことに1080年に建てられたという。城壁からみえるガーデンの美しいこと。9月中旬にしてはめずらしく、とても暑い日だった。日差しがさんさんと降り注ぐなか、日傘のあるテーブルでプロセッコや冷えたビールを楽しむ人たち。


手入れの行き届いた個性的な花々は淡い紫やピンク、黄色、オレンジ、どれも控えめだが可憐でモネの絵画を見ているようだった。
ガーデンだけでなく内装も素晴らしかった。控えめで上品で、とてもセンスがいい。このホテルは普段、ウェディングに使われることも多いのだそうだ。


Grays Courtを出て、石畳の小道を歩いて行くと5分もせずにヨークでいちばんの観光名所York Minsterがあらわれる。北ヨーロッパで最大の中世ゴシック大聖堂であるYork Minsterは800年前に建てられた。照りつけるような暑さだった街中と比べ、大聖堂の中はひんやりと肌寒く、薄暗い世界に色とりどりのステンドグラスが広がっていた。





大聖堂の上からは中世の街並を一望できる。250年の歳月をかけて創られたという大聖堂。その隣の広場でストリートミュージシャンが奏でていた、サイモン&ガーファンクルのThe Sound of Silenceのやさしく悲しい音色がこの街にとてもよく似合っていた。


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