Monday, 19 December 2016

ケーキという名のビスケット、Tunnock's Tea cakes



このまえお気に入りのお菓子と出会った。クリスマス前だからと職場で上司がお菓子を配っていた。そのなかに赤とシルバーのラッピングに包まれたtea cakesというものがあった。まあるくて、手のひらに十分収まるくらいの大きさ。ケーキというくらいだから、何かスポンジでできたお菓子だろうなあとさほど期待していなかったのだけれど、食べてみて驚いた。ケーキじゃない!チョコレートでコーティングされたマシュマロで、底にはじゃこっとした食感のちょっと塩気の効いたクッキーが敷かれている。マシュマロは日本で食べていたそれのように弾力はなく、メレンゲのように口の中で溶けるほどなめらか。


自分でも買いたかったのでどこで売っているか聞こうと思い、他の上司に「あのケーキ美味しかったですね」というと「スコットランドのらしいよ」という一言。え、ロンドンじゃ買えないの?

その翌日、違う用事でpound land(1ポンドショップ)に行き、レジへ向かう途中でお菓子コーナーを通ると、そこには見覚えのある箱が!黄色に赤が可愛い箱の中に、赤とシルバーの包み紙にくるまれたtea cakesが入っていた。これも引き寄せたということなのか。普段はお菓子コーナーは素通りなのに、偶然通ったらそのtea cakesがぴかっと光って見えた。たまにそういうことがある。本屋でも服屋でも、何かがぴかっと光って見えるということ。


それにしても、あまりにあっけない再会でちょっと気が抜けてしまった。なんだ、pound landで買えるんだ。上司が言ったスコットランドとは一体なんだったのだろうと調べてみると、このTunnock's はスコットランドで一人の男性が始めたベーカリーからすべてが始まったのだそう。箱の裏には開店したベーカリーの前に立っている店主Tomの写真が印刷されている。小さなベーカリーから始まったこのtea cakesは今やイギリス全土はおろかアメリカにまで輸出されているそう。公式ホームページに成分表示が書いてあるのだが、同じ大きさのtea cakesがイギリスとアメリカでは、アメリカの方が4kcal高く作られている。脂質糖質がイギリスのそれより高いのがおそらく原因だろう。アメリカンにも受け入られる味を試行錯誤した結果なのかもしれない。イギリスのでも、砂糖とミルクなしのブラックティーのお茶請けにちょうどいいくらい甘いのだけれど。


 このtea cakesはスコットランドを代表するものの一つになっているようで、2014年にスコットランドはグラスゴーで開かれたCommonwealth Games(イギリス連邦に属する国々によって4年に1度開かれる総合競技大会)の開会式ではこのtea cakesの衣装をまとったダンサーも登場したそう。


さらに調べてみると、このtea cakesと同じ「チョコレートにコーティングされたマシュマロ」は1800年代のデンマークが始まりと言われているそうだ。しかし、世界各国にそれぞれ似たようなものがあり、イギリスではこのTunnock's tea cakesがその代表的存在。でもこのtea cakesという名前、ティーの味でもケーキでもないのにちょっと変。実はこのtea cakesという単語にはもともと「お茶請け」という意味があり、この「チョコレートにコーティングされたマシュマロ」であるところのtea cakesも、お茶請けとしてよく出されたことから今ではtea cakesという名前で親しまれているらしい。実際にTunnock's tea cakesはイギリスではビスケットの部類に含まれるそう。

偶然出会ったお菓子がここまで長い歴史を持っているとは思わなかった。まだまだ、イギリスには知らないことがたくさんある。

本日も読んでいただきありがとうございました☕️
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